日本国籍を取得し結婚もした魁聖。同期が次々に引退するなかで抱く夢 (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 30歳になるまで、僕、休場はなかったんですよ。それが、2017年春場所で前十字じん帯を断裂して、途中休場。翌夏場所で負け越して、十両に落ちてしまって......。

 それでも、その時はすぐに幕内に復帰。翌年の春場所では12勝を挙げて、久しぶりに敢闘賞をいただいたんですが、その後は度重なるケガに泣かされました。ふくらはぎの断裂、上腕二頭筋の断裂と続いて、再び2019年秋場所(9月場所)は十両での土俵となりました。

 2020年。33歳になった今年初場所(1月場所)の番付は、前頭16枚目。この場所は同じ「ロクイチ組」の徳勝龍が平幕優勝を果たしたんですが、その徳勝龍に唯一土を付けたのは、僕なんですよ。

 「もう一度、三役に戻りたい」という魁聖 「もう一度、三役に戻りたい」という魁聖 決して、徳勝龍を得意としているわけじゃないんです。これまでも勝ったり、負けたりという感じなんですが、何度も当たっているから、だいたい相手がこうくるんじゃないか?っていうのが、わかるんですよ。

 それで、この場所の2日目に、押し出しで僕が勝ったというわけです。でもまさか、そこから彼が13連勝して優勝するとはね。

 僕は8勝だったけど、一応勝ち越しているわけだし、優勝力士を倒しているんだから、「殊勲賞ほしかったなぁ」って、冗談半分でコメントしたんです。でも(三賞選考委員会で)自分の名前は上がらなかったし、しゃあないです(笑)。

 優勝した「ロクイチ組」がいる一方で、初場所後に大関・豪栄道関が引退。そして、7月場所前には栃煌山が引退と、だんだん仲間が減っていくのは寂しい限りです。僕としては、ケガをしないで、もう一度三役に戻りたいという夢があります。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る