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出世するたび「特殊」な状況になって
嘆いていた魁聖に訪れたサプライズ

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

向正面から世界が見える~
大相撲・外国人力士物語
第8回:魁聖(2)

◆魁聖が角界入りを決めた瞬間>>

 4カ月ぶりの本場所開催となった大相撲七月場所。本来なら愛知県名古屋市で行なわれるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、会場を東京・両国国技館に変更して開催された。観客も従来の4分の1 となる2500人までとし、厳戒態勢のなかで15日間を無事に乗り切った。

 全力士たちが「不要不急の外出禁止」を言い渡されるなか、「僕はインドア派だから、自粛はさほど苦にならなかったですね」と語るのは、身長195cm、体重201kgという恵まれた体格を誇る魁聖だ。サンバやサッカーにはあまり興味がないというが、現在、ブラジル出身の唯一の関取である。そんな魁聖の、これまでの相撲人生に迫る――。

        ◆        ◆        ◆

 2006年7月、名古屋場所(7月場所)中に僕は力士になるために日本にやって来ました。まず東京の部屋に行って、それから新幹線で部屋のみんながいる名古屋に向かいました。日本に着いた時はとにかく暑いなと思いましたね。ブラジルも暑いけど、カラッとして過ごしやすいんですよ。

 友綱部屋の名古屋宿舎に行って、さらにビックリしました。だって、ずっと憧れていた魁皇関が部屋にいるんだから......。僕、誰が何部屋所属とか知らなかったものだから、「魁皇がいる、魁皇だ!」って、軽いパニック状態でしたよ(笑)。

 でも、当時はほとんど日本語を喋れなかったので、魁皇関にも(ポルトガル語で書かれた)紙を見ながら「こんにちは」と言っていたくらいでした。

 ブラジルでは、お祖母ちゃんが家で普通に日本語を喋っていたんですね。それで、僕自身、少しは日本語を理解しているつもりでした。

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