そうだったのか! 楢崎智亜が「無双状態」になるまでの進化の過程 (6ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 どんな大会であってもコンスタントに結果を残せるのが、楢崎の強みである。一方で、勝ち切れない理由を自問自答しながら、足りない技術を日々高める努力をしてきたのは容易に想像できる。

 それが、2019年の世界選手権での萌芽につながった。

 この年、楢崎は世界選手権ボルダリングの準決勝を突破すると、6人で争う決勝では4課題のうち2課題を完登。ほかの5選手が1完登もできずに終えたなかで、圧倒的なパフォーマンスによって2016年以来2度目の優勝を決めた。さらにコンバインドでも優勝し、東京五輪の日本代表を掴み取った。

 今年1月、楢崎はオフシーズンから取り組む新たなテーマを明かしている。

 これまでの楢崎は、登りながら腕を引くと胸を張れないために、肩が猫背のように前方に位置した。ただ、この姿勢だと次へのムーブに移る際、身体の動きに制約が増えるなどデメリットが多かったため、胸を張った姿勢のまま肩甲骨で腕を引けるようにモデルチェンジを決意したという。

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