錣山親方が惜しむ豪栄道の引退。
春場所の注目は力強い相撲が戻った正代 (4ページ目)
私も、父親が自分の部屋の師匠(井筒親方=元関脇・鶴ヶ嶺)で、兄ふたりも力士だったため、周囲からあれやこれやと比較されるなど、琴ノ若の境遇はよくわかっているつもりです。これからも、いろいろとつらいことがあるかもしれないけど、外野の声など気にせず、自分の相撲を精一杯取っていってほしいと思います。
ところで、先にも触れましたが、6年近く大関を務めてきた豪栄道が、初場所を最後に土俵から去りました。
カド番だった初場所は、5勝10敗と負け越しましたが、この春場所で、関脇で10勝を挙げれば、大関に復帰することができました。でも、本人はだいぶ前から「大関から落ちたら、引退」と心に決めていたようです。そのため、負け越しが決まったあとも、千秋楽まで全力で相撲を取って、引退を表明しました。
このコラムでは、優勝候補のひとりとして、毎場所のように豪栄道の名前を挙げてきました。誰もが認める実力者だっただけに、33歳での引退は残念でなりません。
一方で、豪栄道らしい、潔さも感じました。親方として、今後どんな力士を育てていくのか、興味深いですし、楽しみでもあります。
photo by Kai Keijiro
錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。
4 / 4