高梨沙羅が地元で表彰台を逃すも、今季を「すごく幸せ」と楽しんでいる (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤巻剛●写真 photo by Fujimaki Goh

「確かにシーズン最初よりジャンプ自体はまとまってきているけれど、まだ自分のジャンプを模索しながら跳んでいる状態でもあります。テイクオフの時も迷いというか、探りながら立っている感覚はぬぐえないので......。もう少しジャンプ台にインパクトを伝えられる踏切ができればいいかなと思うんですけど、そこはもうちょっと本数を飛んで自分のものにしていくしかないかなと思います。まずは、形からうまくまとめていかないと力を伝えられないので、そこはコーチと話し合いながら固めていきたいと思います」

 五輪明けだった昨季は、道具も含めて多くのものを新たに試したシーズンだった。高梨は「本当にまっさらなところから始めたので、何が正解なのかも自分でもよくわからないまま飛んでいた」と振り返る。だが今は、ある程度は自分の目指すジャンプが絞り込めて、方向性も見えつつある状態になってきた。

「シーズンの最初は、アプローチの姿勢からテイクオフまでに重点を置いてやってきましたが、年末年始に修正したことで、少し先も意識できるようになりました。でも、まずはやってきたことを自分のものにして、何も考えなくても体が動くようにしていかなければいけないと思う。その点ではまだ30~40%くらいかなと思います。まだまだテイクオフでも自信を持って踏み切ることができていないので、空中に出た時もそれが(自信のなさが)出てしまって、不安定になって飛んでいるような感じがします。もう少し力強いジャンプになっていけばと思います」

 翌12日は午前中の試合で、大倉山特有の強い向かい風が吹く中での戦いになった。その中で高梨の1本目は秒速0.75mの向かい風と、他の選手より少し弱かったのに加え、着地する付近では急に風がなくなり、落とされるようなジャンプになり、121.5mの5位発進となった。

 2本目は130mまで伸ばしたが、向かい風による減点は大きく、合計は214.9点の総合5位。2本とも1m台中盤のいい向かい風をもらったピンケルニッヒが135.5mと130mを飛び、前日のクラマーに続いて250.8点でW杯初優勝をする結果だった。

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