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超人か。五輪ロード代表・新城幸也が
大腿骨骨折から3ヶ月で驚異の優勝 (2ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki  高木秀彰●撮影 photo by Takagi Hideaki

 こうして新城は落車の翌日、現地で緊急手術を受けたのだが、その2日後からもうリハビリを開始したというのだから信じられない。19日には現地を離れて、帰国の途へ。東京都北区にある国立スポーツ科学センターで、復帰に向けてのプロジェクトが組まれた。日本オリンピック委員会が特別の支援態勢でサポートすべきアスリートだったからだ。

 3月17日には、まだ松葉杖に頼る新城がリオ五輪のロード代表記者発表に登場。骨折して、35日目だった。誰もが、「今季の新城は絶望だ」と観念していたなか、日本ナショナルチームの浅田顕ロードヘッドコーチは、「五輪でメダルを獲れるのは新城しかいないので、代表から外すと考えたことは一度もなかった」と証言している。

 3月にエアロバイク(室内トレーニングマシン)、4月にはロードバイクでローラー練習、そして5月にはアウトドアで乗り込みを開始し、毎年冬に行なうタイ合宿に出発した。タイは新城にとって、コンディションを上げるための重要な拠点でもある。今回は盟友である土井雪広(マトリックス・パワータグ)が乗り込みに付き合ってくれた。

 風よけとなる先導のオートバイは、ツール・ド・フランスの平均速度に設定したスピードで走らせ、そのあとにピッタリと追従してレース感覚を養った。距離200kmという練習量も、ツール・ド・フランスの1ステージと同じ長さ。その終盤になると、ゴールスプリントと同じスピードまでオートバイを加速させた。そこでスパートできなければ、ツール・ド・フランスで勝つことなんてできないからだ。そんな練習を、毎日続けた。

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