2016.06.09

超人か。五輪ロード代表・新城幸也が
大腿骨骨折から3ヶ月で驚異の優勝

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki  高木秀彰●撮影 photo by Takagi Hideaki

 ショッキングな大腿骨骨折から113日目となる、6月5日――。ランプレ・メリダの新城幸也(あらしろ・ゆきや)が日本で開催された国内最高峰の自転車ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」の伊豆ステージで優勝した。

 それは、奇跡の復活への序章だ。日本中の自転車ファンが身震いするほどの感動を覚え、完全復帰を勝利で飾るというサクセスストーリーに、誰もが幸福を感じた。笑顔をふりまく新城だが、その裏には壮絶なリハビリと、人には絶対に見せない努力があったはずだ。

ツアー・オブ・ジャパンでステージ優勝し、復活をアピールした新城幸也 世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」に5回出場して、すべて完走している日本の第一人者、新城がまさかの大腿骨骨折の重傷を負ったのは2月12日。中東カタールで開催された「ツアー・オブ・カタール」の最終日だった。

 同大会はツール・ド・フランスを主催するフランスの『A.S.O』が統括するシーズン冒頭の国際レースで、この時期にしては温暖な気候を利用して、世界のトッププロが足慣らしとして参加するのが常だった。そうそうたるトップ選手が参加するだけあって、主催者A.S.Oは不測の事態に備え、万全の緊急医療態勢で大会運営にあたった。カタール随一の外科医を押さえて、トップスターが万一にも負傷したときは対応にあたらせる準備があった。

 今回の新城も、その恩恵にあずかったのは不幸中の幸いであった。選手生命を左右するような大事故だったにもかかわらず、カタールの名医は大腿部の筋肉を無駄に損傷させることなく、折れた部分をボルト止め。それが、113日後の復活を実現させる伏線となった。