【ソチ・パラリンピック】久保恒造、6年分の悔しさを胸に目指す「金メダル」 (3ページ目)

  • 瀬長あすか●文 text by Senaga Asuka
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 今も夏場は長距離選手として陸上競技に取り組む久保は、今シーズンが始まる直前の10月末、ソチに向けた勢いにしようと、伝統ある大分車いすマラソンに出場。結果は6位だった。

「陸上にはパラリンピックの日本代表になれなかった悔しい思いがある。それに今回もまた悔しい思いをしたけれど、この思いを忘れずスキーでメダルを取り、またここに戻ってきたい」

夏の悔しさも、力に変える。

 ソチでは7種目に出場。9日のクロスカントリー15kmは、メダルをかけて臨んだものの、14位に沈んだ。ロシア勢にその走力を見せミドルのレースを有利に運ぶために、重要なレースと位置づけていたが、得意の終盤の粘り強い走りを抑え、コースの特徴をしっかり頭に叩き込みながら滑走した。来る勝負の日に向けて体力を温存しようと冷静に判断した結果である。そこには、練習に裏打ちされた余裕があった。

「バンクーバーから4年、表彰台のいちばん高いところを目指してきた。やることはやってきたから、自信がある。あとはコンディションさえ整えば100パーセントのレースができる」

 パラリンピックへの思いが突き動かしてきた久保の競技人生。その第一幕をどんな形で締めくくるのか。金メダルという目標を達成して初めて、自らが突き詰めてきた競技の意味がわかるのかもしれない。

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