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【ミラノオリンピック】銅メダルの中井亜美は度胸満点のニューヒロイン「五輪は思った以上に楽しい舞台だった」 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Yoshiyuki Komiya

【五輪はキラキラしている舞台だった】

「彼女(中井)と出会えたのが幸せだと思っています」

 中庭コーチはそう言って、中井の気骨について語っている。

「初めてのオリンピックで、(首位だった)ショートが終わったあともたいしたものだなって思っていました。フリーも極限の最終滑走。それを自然体で滑って、(演技後にリンクから)上がってきた時も、顔面蒼白とかじゃなく、"ちょっとやらかしちゃった"って姿を見せられて。オリンピックを言葉だけじゃなく体全体で楽しんだ証が、この銅メダルだったんじゃないかと思いました」

 中井も中庭コーチに呼応するように言った。

「(中庭)先生が泣いているのを見たことがなかった。こうしてメダルを獲れて、喜んで泣いている姿を見られてうれしかったです。『この舞台に連れて来てくれてありがとう』と言ってもらえました」

 なぜか、中井のほうが冷静だ。

 17歳のメダリストには底知れなさがある。そもそも、彼女は時代を味方にしている。同い年のライバル、島田麻央にはジュニア時代から後塵を拝していたのだが、天才少女との真剣勝負で鍛えられた。そして島田が誕生日の違いによる年齢制限で五輪に出場できない一方、彼女は大舞台でまぶしい輝きを放ったのだ。

「オリンピックに来られるとは思っていないというところから始まって。今はメダルをかけられているのがうれしいです。思った以上に楽しくて、キラキラしている舞台だと思いました」

 深夜の取材エリア、中井はこともなげに言った。可憐さの皮をかぶった豪傑なのか。ミラノに、新たな冬のヒロインが爆誕した。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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