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フィギュアスケート男子のミラノ・コルティナ五輪代表「3人目」はどうなる? 三浦佳生が好スタート (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【三浦佳生が「3枠目」へ好スタート】

 12月19日、ショートプログラム(SP)。大勢の観客が入った会場は熱気に包まれていた。さまざまな思いが交錯する。その情念が、否応なしに緊張感を高める。

 今回は、日本人男子シングルの五輪出場枠3人を争う戦いだ。GPファイナルでそれぞれ2位、3位の鍵山、佐藤は当確に近いだろう。とくに昨年の全日本王者でもある鍵山は世界ランキング2位で実績、実力とよほどのことがない限り、選考外はない。

 佐藤も今シーズンのGPシリーズの演技は目覚ましく、本大会でもメダルが期待できるレベルまで来ているだけに、異変がなければ当確だ。

 つまり実質的に、3人目を争う大会だ。ひとつの席を巡る争奪戦だが、スケーターは自分に集中するしかない。敵とコンタクトし、倒す競技ではない以上、敵愾(がい)心や戦闘意欲は滑りに乱れを生じさせ、失敗の連鎖すら生むからだ。

 その点、トップに立ったのは三浦だった。冒頭の4回転サルコウ+3回転トーループを着氷すると、滑りに確信が満ちていた。トリプルアクセル、4回転トーループとすべてのジャンプを成功。95.65点で、鍵山に続く2位につけた。

「本当に怖かったです」

 三浦はそう本音を明かしている。

「会場に向かう車のなかから会場に着いて、だんだん怖くなってきた。例年の全日本よりも背負うものが大きな感じがして、いつもなら試合にすっと入れるはずが、なかなか集中できませんでした。でも、『自分に集中しろ、信じるだけだ』って言い聞かせて。本当に演技開始2秒前、氷に膝をつく直前に『できる』っていう自信に変わったのがよかったです」

 三浦はもともと疾走感では世界でも有数のスケーターで、激情がたゆたう演技が持ち味だった。しかし、その爆発力は諸刃の剣で、波の激しさを生み出した。メンタル面の安定が欠かせなかった。

「今シーズンは、スケートの調子はいいのになんでできないのかって悩んで、でも諦めずに過去一番追い込んで、今日は自分を信じきれました。練習リンクでは、周りの選手が自分の練習を優先してくれて......すべて含めて感謝の気持ちがこみ上げてきましたね。でも、まだフリーがあるので、喜びは1時間で忘れて。もう一度いい演技をして、感謝すべき人に伝えられるように」

 三浦は決意を固めていた。

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