坂本花織、現役最後の全日本の結末は? 5連覇&五輪代表内定へ「1分1秒を惜しみなく」
12月18日、東京。全日本フィギュアスケート選手権の前日練習が行なわれていた。取材エリアでは、第一人者である彼女を囲んで、ひと際大きな人垣があった。
「初日としての感触は悪くなかったです。あっという間にここまで来ました。濃い日々を過ごしてきたし、より充実させるために、全日本でもうひと踏ん張り!」
全日本選手権SPで首位発進した坂本花織
坂本花織(25歳/シスメックス)は努めて明るく、大会への意気込みを語っていた。今シーズン限りの現役引退を表明しているだけに、最後の全日本となる。しかも、ミラノ・コルティナ五輪に向けた最終選考で、彼女の場合、最有力であることは間違いないが、「何が起こるかわからない」と言われる大会だけに不安がないはずはない。
「楽しみ5%、不安45%、緊張50%。計算合っているかな? 不安だけど、頑張ろうって思っています」
彼女は陰気を払うような陽気な声を出して言った。彼女ほどの実力者で、経歴の持ち主だったら、ネガティブになる要素などない。しかし逆説すれば、そうやって好きなスケートを裏切らないように、妥協せずに向き合ってきたからこそ、高みにたどり着けたのだろう。その分、失敗に引きずりこまれる怖さも知っている。抗うには、真摯に滑り続けるしかないのだーー。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

