【フィギュア】ミラノ五輪で日本はメダルを獲れるか? 勝負のカギは「カップル競技」 (3ページ目)
【うたまさの伸びしろに期待】
一方、アイスダンスはやや厳しい戦いになりそうだ。国別対抗戦で吉田唄菜、森田真沙也の「うたまさ」は、リズムダンスもフリーも6組中6位だった。5位には20点前後も得点差がついた。アメリカのマディソン・チョック、エヴァン・ベイツ組とは比較も酷で......。
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しかし、うたまさは十分に健闘している。はつらつとした明るい演技で、観客の拍手も浴びた。結成2年目の若者に、これ以上は求められない。アイスダンスは緻密さが求められ、一つひとつのエレメンツを完璧に仕上げ、失敗は命取り。言い換えれば、完成にはとにかく時間がかかるのだ。
「自分たちは一生懸命さが前面に出ちゃうんですが、トップの方はこなれている。私たちのダンスを見ていると、まだ見ている方が疲れてしまうので、見ていて疲れない演技をできるように」(吉田)
「うれしい思いも悔しい思いも2年間してきて......それをどう生かせるか。それが3シーズン目になるはず。五輪はとても大きな大会なので特別視をしていない、は嘘になりますが、プレッシャーを感じすぎず、本番に挑めるように」(森田)
うたまさがどんな演技ができるか。それは点数以上の話かもしれない。彼らの全力の演技は、バトンを渡すようにほかの選手につながるはずだ。
「強い私たちを見せられるプログラムを」
うたまさは来季に向け、そう誓っていた。
前哨戦はアメリカの強さが際立ったが、上々の大会だった。日本のシングルはこれが最高値ではないし、アイスダンスは伸びしろが多く、りくりゅうはチームジャパンのジョーカーになるはずだ。
「リンクサイドの応援がなかったらくじけていましたね。チームメイトも、観客のみなさんも楽しんでくれて。みんなが見ていてくれるから、頑張ることができました」
キャプテンを務めた坂本の言葉は、五輪団体戦に向けた羅針盤だ。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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