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【フィギュア】ミラノ五輪で日本はメダルを獲れるか? 勝負のカギは「カップル競技」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【りくりゅうが日本チームをけん引】

 今回、日本は男子シングルで、鍵山優真が(12人中)ショートプログラム(SP)が4位、フリーが5位に終わるも、これは4回転フリップ挑戦などで産みの苦しみを味わった結果だろう。イリア・マリニンを脅かせる実力者は彼だけだ。

 佐藤駿は大健闘だった。SP5位、フリー4位で、日本男子シングルの選手層の厚さを証明した。五輪メンバーはこれからし烈な選考争いになるが、鍵山に匹敵する男子選手がいるのは心強い限りだ。

 女子シングルは、坂本が君臨している。国別対抗戦はSP2位、フリー3位も、コンディションを考えれば限界は出しきったと言える。

「気合いで乗りきったという演技でした」。大会後、本人はそう笑っていたが、どうにかジャンプをこらえて、観客を引き込む姿はまさに"坂本劇場"だった。

 千葉百音は今シーズン、GPファイナル2位、世界選手権3位で、著しい台頭を見せたが、国別対抗戦はSP4位、フリー5位で疲労の色が濃かった。「いろんな選手と戦うたび、足りないところを感じている」と本人は真面目に言うが、それは進化のプロセスだ。

 そしてペアの三浦璃来、木原龍一の「りくりゅう」は、SPで久々に80点台をたたき出し、貫禄の1位だった。フリーも自己ベストの1位で、圧倒的な技量を見せつけた。世界選手権2度目の王者の経歴は伊達ではない。前回の五輪でもメダル獲得の原動力だったが、存在感は当時以上だ。

「練習を積み重ねてこられてよかったと思います。シーズン後半にピークを合わせて、滑り込んできた結果を出せました」(三浦)

「(いまや日本チームをけん引していることについての質問に)10年前は想像できていなかったこと。自分たちがけん引している、というのはうれしい言葉ですが......全員で引っ張っていけたらと思います」(木原)

 2014年と2018年の五輪団体戦で、日本はそれぞれ4位と5位で、あと一歩でメダルに届かなかった。りくりゅうの登場で、戦局が劇的に変わっている。ポイントを稼げなかったカップル競技で、強力なカードを手にした。

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