検索

【世界フィギュア男子】鍵山優真はイリア・マリニンに大差の敗北 五輪へ向け求められる「無敵の人」の隙をつく準備 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【超高難度に挑む王者の隙をつけるか】

 今回もGPファイナルと全米選手権に続き、フリーで4回転7本の構成として、2位に31.09点差をつけて圧勝したマリニンが実力は抜け出ている状況。だが、マリニンもまだこの構成を完璧にしているわけではない。

 GPファイナルではすべての4回転が「q」マークを含む回転不足の判定で、ミスをしたフリーは鍵山の得点を下回っていた。今回もアクセルとトーループが「q」判定で、2本目のルッツは2回転に。今回のフリーの208.15点は、鍵山が2022年北京五輪団体戦で出した208.94点とほぼ同等だった。

 4回転を6本にした2024年の世界選手権では、世界歴代2位の合計333.76点を出しているマリニンだが、4回転7本の構成については「自分に課した挑戦。自分にとってかなり難しい挑戦だが、オフシーズンにできるだけ確率を上げられるように努めて、五輪ではほかのプログラム要素も一緒に、楽々と完了できるようにしたいと思っています」と意欲的だ。

 マリニンは来季さらに完成度を上げてくる可能性が高いが、高難度であればあるほどその時の体調や精神状態などが成功の可否に大きく影響し、隙も生まれるものだ。だからこそ鍵山は、相手にミスが出た時に接戦に持ち込める万全な準備をしておかなければいけない。

 そのためにも今回果たせなかった「SPとフリーをそろえたい」という目標を、リラックスした気持ちで臨めるであろう4月の世界国別対抗戦で実現し、マリニンに対して存在感を大きくしておくことは必須だ。

 SPへの自信は今回でほぼ手中にしただけに、フリーは今季挑戦した4回転ルッツの導入なども含め、鍵山らしさを存分に発揮できるプログラムとして完成させることが最大の目標になる。それができれば、まだまだ戦うことはできるはずだ。

4 / 5

キーワード

このページのトップに戻る