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【世界フィギュア男子】鍵山優真はイリア・マリニンに大差の敗北 五輪へ向け求められる「無敵の人」の隙をつく準備 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【今季自己ベストで上々の滑り出し】

 鍵山は、ショートプログラム(SP)で曲を少し変更して臨んだ。後半のステップシークエンス以降の部分に、ギターやドラムの音を追加して力強さを出した。これは振り付けのローリー・ニコル氏から提案されての変更だった。

 3月27日(ボストン現地時間)のSP。最終滑走の鍵山は、マリニンがノーミスで自己ベストの110.41点を出したあとの演技だった。

 決意を固めたような表情でスピードに乗って滑り出すと、最初の4回転トーループ+3回転トーループは3.80点の加点にする。次の4回転サルコウは軸がやや流れながらもきっちり決めた。

 そして曲を変更したステップシークエンスは、ジャッジ5人がGOE(出来ばえ点)加点5を出す出来でノーミスの滑り。納得の力強いガッツポーズを繰り返した演技は、シーズン自己ベストの107.09点。演技構成点についてはマリニンを0.86点上回った。

「(演技の)前半と後半の強弱のメリハリがしっかりとついて、ステップの力強さもより明確に出せたと思う。今までの曲だとノーミスでも自己ベストやシーズンベスト更新はなかなかできなかったけれど、より力強さが加わることによって演技構成点にもしっかりと影響し、久しぶりにシーズンベストを更新できたのでよかったです」

 今季のSPでは、隙のない滑りをするマリニンに次ぐ2位発進ながら、鍵山は僅差で競り合うことができていると、納得する表情だった。

 そのあとの記者会見で、マリニンのすごいと思うところを聞かれ、鍵山は「イリア選手は以前から、本人は簡単に跳んでいるかどうかわからないけれど、見ている側としては難しい4回転ジャンプを簡単に跳んでいるので本当にすごいと思います。スケーティングや表現の部分も年々すごく強化されてきているので、僕としては"無敵の人"というイメージです」と話した。

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