宇野昌磨「ダラダラ、ゴロゴロして」充電完了 初プロデュースのアイスショー『Ice Brave』に本田真凜ら「仲間」と挑む
宇野昌磨『Ice Brave』会見&インタビュー 前編(全3回)
3月19日、名古屋市内。宇野昌磨(27歳)は、自身初となる企画プロデュースのアイスショー『Ice Brave(アイス・ブレイブ)』の記者発表を行なっている。「トヨタイムズスポーツ」でも生配信された。
3月19日、名古屋市内で『Ice Brave』の発表会見を開いた宇野昌磨この記事に関連する写真を見る
宇野は6度の全日本選手権優勝、世界選手権連覇、そしてオリンピックでは団体の銀メダルを含めて、日本のフィギュアスケート史上最多3個のメダルを獲得。競技の歴史に名を刻んでいる。
記録だけではない。ケガに見舞われながら、それをはねのけて表彰台の一番高いところに立ったり、目を覆うような不調から一気に王者になったり、難解な曲を優雅に滑りきって芸術性が賛美されたりした。記憶に残る演技が多かった。
その宇野が、次にどのようにスケートと向き合うのか。昨年5月の引退会見後、新しい挑戦が本格的に動き出したーー。
【ダラダラゴロゴロ...休養を経てリスタート】
「現役時代は、技術を磨き上げる毎日で......セカンドキャリアは望んでいた家でダラダラ、ゴロゴロができました」
会見場で、宇野はそう言って小さく笑った。それは本心なのだろう。心身ともに限界まで追い込んで真剣勝負を戦ってきたはずで、リスタートするには休養が必要だった。
「十分ダラダラ、ゴロゴロして......打ち込むことがある大切さにもあらためて気づきました。今は、『Ice Brave』をすばらしいショーにするため、過酷なスケジュールも苦ではないです」
充電は完了したのか、リンクに立つと、自然とスイッチが入った。稽古では、8時間も氷の上に立ちっぱなしという日もあったほどだ。
『Ice Brave』では、現役時代のプログラムを中心に滑る。本人いわく、「頑(かたく)なにやってこなかった演目も」入っているという。ダンサーが陸で振り付けを担当し、それを氷の上に落とし込む。今まで以上に"踊る"要素の強い世界をつくり出すことになりそうだ。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。