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宇野昌磨が見出した「飛躍的成長」の条件 「やりたいからやっているだけ」の気持ちで新アイスショーへ

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

宇野昌磨『Ice Brave』会見&インタビュー 中編(全3回)

 3月19日、名古屋。ビルの25階からは、市内を見渡すことができた。冬の終わりを告げる晴朗で、屋内には優しい日差しが入っていた。

『Ice Brave』の発表会見のあと、個別インタビューに応じた宇野昌磨『Ice Brave』の発表会見のあと、個別インタビューに応じた宇野昌磨この記事に関連する写真を見る

 宇野昌磨(27歳)は、アイスショー『Ice Brave(アイス・ブレイブ)』の記者会見で1時間半以上メディアに対応したあと、さらにマスコミ各社の個別インタビューを受けていた。6本目のインタビューで、すでに日は落ちかけ、2時間近く、彼は話し続けていた計算になる。

「疲れました......」

 嘘がつけない宇野は、開口一番に言った。そう本心を明かし、笑いになるところが、人をひきつける所以だろう。かわいげがあるというのか。

 それでいて、宇野はインタビューで正対すると、言葉を丁寧に用い、品のよさを見せた。感情も含めて伝えるために、ずっと視線を合わせる。少しもぞんざいな物言いはしない。こちらの問いに自然に笑みをもらしながら、一つひとつの問いに真摯に答えた。氷の上に立った時と同じく、スイッチが入った彼はその場の集中力を、引力を感じさせた。

 その生き方こそ、『Ice Brave』の根底にもあるはずだ。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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