世界フィギュアで日本勢は表彰台を独占できるか 坂本花織は絶対優位、千葉百音、吉田陽菜も可能性は十分 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【日本勢の表彰台独占は?】

 イとヘンドリックスが実力を出しきれないような状況なら、坂本に続く表彰台争いはし烈になりそうだ。そこで浮上してくるのが、四大陸選手権を自己最高の214.98点で初制覇した千葉百音(木下アカデミー)だ。

 千葉は、今シーズン序盤は低迷した。しかし、運動誘発性喘息を治療したことで、全日本選手権から一気に結果を出し始めた。ジュニアの頃から伸びのある滑りに定評はあったが、シニア初シーズンにもかかわらず、四大陸選手権のフリーの演技構成点では全体のトップスコアを出すほどジャッジの評価は高い。体調さえ整えば、210点台をコンスタントに出せる実力はある。

 また、GPファイナルは203.16点で3位になった吉田陽菜(木下アカデミー)も飛躍の可能性がある。昨季の世界選手権で4位になったイザボー・レヴィト(アメリカ)は、自己最高得点が215.74点と力はあるが、今季はジャンプが安定せず勢いを失っている。

 昨季の四大陸選手権では1位、2位、4位となり、世界選手権でも2位と6位に入っていた韓国勢は今季、イの不調に影響されたのか、全体的に伸び悩んでいる状況。四大陸選手権は、昨年の世界選手権6位のキム・チェヨンが204.68点で健闘したが、まだ細かいミスもある。

 坂本が絶対優位の状況で、ライバルたちの状態も不透明な今回の世界選手権。日本勢が何人表彰台に上がれるかも注目にひとつになりそうだ。

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プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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