「曲に体の細胞が全部反応している!」高橋大輔の演技に長光歌子が感じた才能とは

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

フィギュアスケート・長光歌子インタビュー第1回(全4回)

 長光歌子コーチは、50年以上にわたってフィギュアスケート界で指導者を続けてきた。

 浅沼まり、今川知子、澤田亜紀、田中刑事、三宅星南など男女を問わず、五輪出場や全日本選手権で上位に入るトップスケーターたちを数多く輩出している。なかでも、高橋大輔とは二人三脚で、日本男子初の五輪メダル、世界選手権優勝、グランプリファイナル優勝と、華々しく男子フィギュアの歴史を変えた。名伯楽と言えるわけだが......。

「皆さんが築いてきたもののあとに、私たちがいるだけだと思っています」

 長光は謙虚にそう言って、今も指導を続けるが、その経験からくる言葉には宝玉の輝きがある。そこで今回は連作インタビューで、先駆者である高橋との逸話を中心に、「フィギュアスケート界の昔と今」を語ってもらった。そこから見えてくる未来もあるはずだーー。

 第1回は、不世出のフィギュアスケーター、高橋大輔の実像に迫った。

「(高橋)大輔の人生はいろんなことが伏線のように絡み合っていて、漫画でも小説でもないような物語になっている気がします」

 長光は言う。彼女が見つめてきたのは、筋書きのない、とっておきのドラマだった。

2012年GPファイナルの高橋大輔と長光歌子コーチ。日本男子初の優勝を飾った photo by Getty Images2012年GPファイナルの高橋大輔と長光歌子コーチ。日本男子初の優勝を飾った photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る