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伊藤みどり53歳が国際競技会で優勝 「もう滑らない」...跳べない葛藤を経て、アクセルジャンプなしで表現した「私の人生」 (3ページ目)

  • 野口美惠●取材・文 text by Noguchi Yoshie
  • photo by Yoshie Noguchi

●旧知の振付師、ピアニストと作品づくり

「アーティスティック」を選んだ伊藤は、滑りや表現を追求しようと考え、旧知のピアニスト、福間洸太朗さんに編曲を依頼。『マイウェイ』と『愛の讃歌』のシャンソンメドレーを試合用の2分10秒で演奏してもらった。

 さらに、現役時代から交流があるデイビッド・ウィルソンが、リモートでの振り付けを買って出てくれた。

 曲を聞いたデイビッドは、直感的にこう感じた。

「50歳を迎えたみどりにとって、まさに今、滑るにふさわしい曲だと思いました。みどりのスケート人生への誇りと、スケートへの愛を、そのまま表現できる曲です。それに、みどりはジャンプが有名だけれど、実際にはスピード感あるスケーティングが魅力。その魅力が引き立つように、リンクを大きく使い、氷との一体感を伝えられるものにしました」

 仕上がったプログラムでは、ジャンプは1回転ループのみ。スピード感のあるランジ、イーグル、イナバウアーなど、滑りそのものをアピールするものだった。

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