伊藤みどり53歳が国際競技会で優勝 「もう滑らない」...跳べない葛藤を経て、アクセルジャンプなしで表現した「私の人生」 (2ページ目)

  • 野口美惠●取材・文 text by Noguchi Yoshie
  • photo by Yoshie Noguchi

●「ダブルアクセル」が跳べなくなった葛藤

 本来、トリプルアクセルを代名詞としてきた伊藤にとって、「アクセル」は自分の人生で切り離せないものだ。

「唯一、前向きに踏み切るジャンプ。他のジャンプとは違いますし、私の場合はスピードを使って前に大きく飛び出していく。私はアクセルを跳ぶとスケートそのものの調子が上がっていくので、ウォーミングアップでもあるし、一番見せたい技でもあります」

今回は代名詞であるアクセルジャンプを今回は代名詞であるアクセルジャンプをこの記事に関連する写真を見る それは人生の節目にもなってきた。32歳でプロスケーターを引退するまでトリプルアクセルを跳び続け、41歳からは、質の高いダブルアクセルをこの大会で跳ぶことがモチベーションだった。

 しかし49歳の時にダブルアクセルを跳べなくなってからは、自身と葛藤した。

「ダブルアクセルを跳べないなら、もう滑らない、と思った時期もありました。でも50代になって、ダブルアクセルを跳ばなければいけないという強い気持ちが、『跳べたらいいな』くらいになって、自分を受け入れられるようになったんです。少しラクに生きられるようになったのかなと思います。今はただ、滑る楽しさを感じて、それを表現できたらいいなと思えるようになりました」

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