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宇野昌磨「1強」か? 4回転半ジャンパーのイリア・マリニンが追い上げる可能性は? 世界フィギュアの表彰台争いは大混戦の様相 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

●2位、3位の表彰台争いは大混戦の様相

 自己最高で280点前後の選手は、北京五輪は282.38点で5位のチャ・ジュンファン(韓国)と、281.24点で6位のジェイソン・ブラウン(アメリカ)、278.07点で7位のダニエル・グラスル(イタリア)。

 だがチャとグラスルは、今季264点台が最高といまひとつ調子に乗りきれていない。

 GPシリーズに出場していなかったブラウンは、全米選手権では277.31点を出してマリニンに次ぐ2位になっているだけに侮れないが、フリーでは4回転がないため爆発力はない。SPで100点台に乗せフリーもノーミスで滑らなくてはいけないという条件だ。

 そんななかで浮上の可能性を秘めるのが、GPファイナルで自己最高の274.35点を出し、宇野に次ぐ2位になった山本草太(中京大)だ。

 そのあとの全日本選手権は245.41点で5位に沈んだ不安定さもあるが、今年1月のワールドユニバーシティゲームズでは非公認ながらSPで初の100点台となる101.32点をマークし合計274.86点で優勝。

 山本はハマれば280点台に迫れる力はつけてきた。SPをノーミスで滑って90点台後半の得点を出すことが、上位浮上へのカギになってくる。

 また、自己最高はGPシリーズフランス大会優勝時の268・98点だが、アダム・シャオ・イム・ファ(フランス)も面白い存在だ。

 SP、フリーともにブノワ・リショー氏の振り付けで面白い世界観を表現している選手。GPシリーズ・フランス大会のフリーでは4回転3本を入れた構成で180.98点を出して、SP3位から山本と友野一希を逆転して優勝した。

 優勝した1月のヨーロッパ選手権ではSPで96.53点を出しているだけに、うまくそろえられれば上位争いに食い込んできそうだ。

 また、友野は今季、得点が伸び悩んでいるが、SPで前回の世界選手権のように100点台に乗せられれば、勢いに乗って269.37点の自己最高の更新もあり得る。

 3月23日からの熱戦を楽しみに待とう。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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