世界女王・坂本花織、勢いに乗る三原舞依、ダークホース渡辺倫果...GPファイナル女子は僅差のバトル (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【試される大舞台での精神力】

 GPファイナルで、坂本と優勝を争うのは昨季世界選手権2位のヘンドリックスになりそうだが、今季のベスト得点では217点台で坂本と三原が並び、ヘンドリックスは216点台、レヴィトは215点台と僅差。

 ただ、NHK杯の敗戦で気持ちを切り替えた坂本は、220点台後半まで上げてくる実力はあるだけに優勝候補の筆頭となるだろう。

 三原は出場選手中唯一、長距離移動をしながらの中1週での3試合目と疲労の蓄積が気になるところ。だが、220点台は視野に入れている。

 またヘンドリックスは、219.05点が自己ベストだが大舞台の安定感があり侮れない選手だ。初の大舞台でまだ力を発揮しきれていない渡辺も、武器のトリプルアクセルをSP、フリーとも成功させれば、迫ってくる可能性もある。

 今回のGPファイナル女子の戦いはまさに精神力の強さを見せられるかどうかの戦いになりそうだ。

 一方、日本と韓国の対決になったジュニアGPファイナル女子も見ごたえがありそうだ。日本3人と韓国2人のシーズンベストが205点以上。そのなかで抜けているのが、後半に4回転トーループとトリプルアクセルを入れる島田麻央(木下アカデミー)で、優勝候補の筆頭。

 2番手につけるのは最終のイタリア大会で208.31点の自己最高を出した吉田陽菜(木下アカデミー)。吉田もトリプルアクセルを武器にするだけに、同門の先輩の意地を見せてくれるか期待したい。

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【著者プロフィール】
折山淑美 おりやま・としみ
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、これまでに夏季・冬季合わせて16回の大会をリポートした。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追っている。

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