宇野昌磨「ちゃんと成長するシーズンになる」と手応え。新プログラムでは"新たな冒険"へ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

新プログラムで見せた冒険心

 宇野がそんな思いを持つ新プログラムは、今までとはまた違う一面も感じさせるものだった。これまでの宇野の滑りは、流れのなかで瞬間的に動作の"止め"を作ることで、彼らしい力強さを感じさせていた。だが、今回の演技には、"止め"はなく、ずっと流れる動き。それも軽やかというより、粘度の高い液体がゆるやかに流れているような、力強さも感じさせた。シャンソンの曲に乗り、ゆったりとする心地よさを感じさせ、宇野らしさを際立たせる。

 最初に4回転フリップを跳ぶと、後半にはアクセルに入りかけて止めたような動きを見せてそのまま3回転ループを跳んだ。

「僕は試合でコンビネーションジャンプを跳べないことが多いので、練習でもコンビネーションの練習をすることが多く、スピードのないところで2本目のジャンプを跳ぶ練習をやっています。見ているみなさんにすれば失敗したかなと思っただろうけど、今回はリハーサルだったので」

 先を見据えたうえで演じている新プログラム。かつて、『グレート・スピリット』を最初にアイスショーで見た時は、顔にペイントをして滑る宇野の姿を見て驚くとともに、新たな世界を冒険しようとする気持ちが感じられた。その時と同じような冒険心を感じさせたこのプログラムは今季、競技用のプログラムとともに見逃せないものになってきた。

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