鍵山優真が高得点を挙げられる理由。すべての要素が、教科書に載せられるような基本に忠実な滑りにあった (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

【「もっと上に上がれる」】

「とてもうれしいです。この銀メダルという結果は、この数年間オリンピックを目指してきて頑張ってきた努力が詰まった銀メダルと思うので、そこまでの成長をしっかりと感じることができて、とてもいい演技ではなかったですけど、全力でやれたと思います。

(コーチの父からは)おめでとうという言葉をもらいました。今大会は点数や結果をひとまず考えずにやってきたので、キスアンドクライで点数を見て結果を聞いて、すごくびっくりしました。自分は今後、もっと成長できるなと感じましたし、もっと上に上がれると思うので、まずはコツコツと成長できたらいいなと思います」

 親子鷹で目指した五輪で銀メダルを獲得した孝行息子は、隣で顔を紅潮させ、目頭を押さえる父の姿を目に焼きつけたに違いない。

「父からは『悔いが残らないように自分がやりたい演技をしてこい』と言われました。個人の銀メダルを獲れたので、いい親孝行ができたんじゃないかなと思います。メダルは掛けてあげたいです」

 銀と銅のメダルを手に入れた18歳にとって、今回の北京五輪は、今後の成長という点においても計り知れない経験となったのは間違いない。4年後の次の五輪では、五輪新王者ネイサン・チェンの連覇を阻止する金メダル有力候補になっている可能性は高い。そんな期待と予感を持たせる鍵山の五輪初陣だった。

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