宇野昌磨「自分から逃げる演技だけはしたくない」。足首を負傷も「いつもどおり」と5度目の全日本優勝を目指す (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【5度目の優勝へ】

 彼は「今」を満たしながら、次の「今」を夢中で見つけている。スケートに対する真摯で情熱的な生き方は、ケガに見舞われても変わらない。あるいは、ケガさえも成長を遂げるための要素だ。

 NHK杯ではフリーの連続ジャンプが4回転トーループ+2回転トーループにとどまったが、この日は2本目を3回転にして着氷していた。万全な状態ではないにもかかわらず、恐れずに挑む姿勢があった。フリップで右足首をケガしたのも、4種類5本の4回転ジャンプという限界を突破しようとするプロセスだったのではないか。

 当然、全日本でも5度目の優勝を狙う。GPファイナリストだけに、2大会連続出場がかかる北京五輪への争いは優位な状況だが、王者として決められるか(優勝者は無条件に出場、他に2名が選ばれる)。

「いい演技とか、悪い演技とか、そこは運も含めていろいろからんでくるんだと思います。でも、自分から逃げる演技だけはしたくないと思っています」

 "決戦前夜"、宇野はスケーターとしての矜持を語った。12月24日に行なわれるSPは第4グループ、3番目の滑走。清冽(せいれつ)な志が運命を引き寄せる。

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