全日本フィギュア女子シングルで熾烈な3番手争い。北京五輪への切符を手に入れるのは誰か

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

全日本選手権での活躍が期待される樋口新葉全日本選手権での活躍が期待される樋口新葉この記事に関連する写真を見る 12月23日から始まる全日本フィギュアスケート選手権。今季の女子シングルでは、坂本花織がグランプリ(GP)シリーズのNHK杯で223.34点の高得点を出して一歩リードしている状態だ。坂本は4回転ジャンプやトリプルアクセルへの挑戦をやめ、得点源となる演技後半のジャンプに連続ジャンプを組み込んだプログラムの完成度で勝負すると決めた。全日本選手権ではその得点を220点台後半から230点台に乗せようという意欲を持って臨む。

 紀平梨花は今季、羽生結弦と同じブライアン・オーサー氏に師事をして拠点をカナダに移したが、ケガでGPシリーズ2戦などを欠場。10月のスケートカナダを欠場した時点で、今季の最重要大会は北京五輪とターゲットを定め、その代表選考会となる全日本できっちり結果を残すことに照準を定めたはずだ。公認の自己最高得点は233.12点だが、フリーで4回転サルコウを成功させた昨年の全日本では234.24点を出している実力者。出場するからには確実に優勝を狙える、220点台後半から230点台を意識した準備はしてくるだろう。

※紀平選手の欠場報道が出る前に執筆した記事です。

【坂本、紀平を追う有力選手は?】

 坂本、紀平のふたりが一歩リードしている日本の女子シングルだが、北京五輪代表枠は3枠。それを全日本で争うことになる。3人目に誰が名乗りを上げるかが、今大会の最大の注目ポイントだ。

 3人目の有力候補になりそうなのが、樋口新葉だ。シニア2シーズン目だった4年前の平昌五輪シーズンは、チャレンジャーシリーズ・ロンバルディアトロフィーで217.63点を出してアリーナ・ザギトワ(ロシア)に次ぐ0.83点差の2位と好スタートをきり、GPシリーズも2大会で3位と2位になり、宮原知子とともにGPファイナル進出を果たした。

 だが、GPファイナルは調子を落として202.11点で6位の結果に終わると、その後は盛り返すことができず。2017年12月の全日本では年齢制限で五輪に出場できなかったジュニアの紀平にも敗れる4位で五輪代表を逃した。2018年3月の世界選手権は平昌五輪3位のケイトリン・オズモンド(カナダ)に次ぐ2位になったが、悔しさを晴らすことはできなかった。

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