全日本フィギュア女子シングルで熾烈な3番手争い。北京五輪への切符を手に入れるのは誰か (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「4年前は調子がよかったのに、息切れをして全日本まで持たなかった。今シーズンはその経験を生かして、ケガをしないように注意をしながら、最初から全力でいくのではなくて温存しながら、だんだんよくなっていくようにしようと思っていた」

 2018−2019年シーズンからはケガに苦しみ、昨季はトリプルアクセルに挑戦したがうまくいかなかった。だが、今季は10月2日のジャパンオープンでトリプルアクセルをきれいに決めていいスタート。得点は、スケートカナダ6位の205.27点が今季最高だが、そのあとはチャレンジャーシリーズ・オーストリア杯で、これまで挑んでいなかったショートプログラム(SP)のトリプルアクセルに成功し、ノーミスで79.73点を獲得した。フリーもフランス杯では、トリプルアクセルと後半の3連続ジャンプは4分の1回転不足、3回転フリップはエッジエラーと判定されたものの、全ジャンプを着氷する流れのある滑りをして自己最高得点の141.04点をマークした。

 今大会では、フランス杯でのミスを修正して145点を目指す。トリプルアクセルに自信をつけてきているだけに、SPとフリーをうまくそろえれば220点台も見えてくる状態になっている。

【条件がそろえば高得点の選手たち】

 続くのは、今季、スケートカナダとイタリア杯を2週連続で出場し、それぞれ210.01点、214.95点と自己最高得点を連発している三原舞依だ。スピードや力感はまだものたりない部分はあるが、力みのないきれいなジャンプは健在。「ハードな練習もできるようになったから、これからGOE(出来ばえ)加点やPCS(演技構成点)をもっと上げていけるように、練習を毎日頑張りたい」と、全日本での220点オーバーを意識している。

 宮原知子も追随している。イタリア大会では209.57点をマーク。昨季の世界選手権は、国際大会がなかったために世界のジャッジの評価とのすり合わせもできていなかったこともあり、19位とショッキングな結果となった。だが、今季はここ数年の課題だったジャンプの回転不足も少なくなってきており、彼女の強みである表現力の確かさも生かせられる状態になりつつある。練習どおりに不安なく滑れるようになれば、GPシリーズで219点台を連発し、全日本で223.34点を出した2018−2019年シーズンのような滑りを取り戻せるはずだ。

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