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坂本花織が吐露した「大人の女性になりきれない」もどかしさ。大会優勝も「ボロボロでした......」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 坂本 清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 坂本は快活で、天真爛漫な女性に映る。そもそも、リンクでの彼女は何かに縛られていないようにも見えるだけに、思考や概念を演技に落とし込む作業は難解なのかもしれない。たとえば、昨シーズンまでの『マトリックス』のように映画の疾走感を切り取ったプログラムは、感情のままに表せた。

 表現者として、今は生みの苦しみか。

 暗中模索だからこそ、あえて厳しい日程に挑んでいるのかもしれない。

 10月9日、坂本は近畿選手権に出場している。昨シーズンの全日本選手権は2位で、地方ブロック大会出場は免除だが、あえて参加した。前週にはジャパンオープン、翌週にはアジアンオープントロフィーを控え、"過密日程"を自ら作った。

「近畿(選手権)は出なくてもよかったんですが、ショート(プログラム)はげんさん(サマーカップ)で滑って2回も曲が止まったり、一回、試合で通してやっておきたくて。(中野園子)先生に『出ます』って伝えました」

 坂本はそう説明していた。試合のなかでしか確かめられない感覚があるのだろう。

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