2021.10.05

樋口新葉が完璧なトリプルアクセル。一時は諦めかけるも初着氷から4年半の道のり

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto)

ジャパンオープンでトリプルアクセルに成功した樋口新葉ジャパンオープンでトリプルアクセルに成功した樋口新葉 この記事に関連する写真を見る  フィギュアスケート新シーズンの本格的幕開けを告げるジャパンオープンで、出場した女子6人のうち、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑んだ選手は4人。成功したのは2人で、そのひとりが2018年世界選手権2位の樋口新葉だった。

 この日、北京五輪シーズンに向けて「弾みをつける大会にしよう」と心に誓っていた樋口は、試合で初めて完璧なトリプルアクセルを跳んでみせ、出来栄え点(GOE)で2.40点の加点がついた。国際スケート連盟(ISU)非公認大会ながら、出場選手中トップの136.27点をマークし、自己ベストの134.51点を上回る出来だった。

「最初のトリプルアクセルから3回転サルコウまでの3つのジャンプを続けてできたことがすごくよかったと思います。トリプルアクセルは、踏み切りの方向と跳び上がりの浮きの感じがすごくいいタイミングで合っていて、ずれなかったのがよかったです。

(GOEで)プラスをもらえたのは初めて。ちゃんと跳べて降りた感覚はすごくあったんですけど、演技が終わったあとのスロー(映像)で見た時に、また『q』(4分の1の回転不足のマーク)がついちゃうかなという不安はあったので、もうちょっと完璧に跳べばよかったなと思いました」 

 現在20歳の樋口がトリプルアクセルに取り組み始めたのは13、14歳のジュニア時代。当時は女子で最も難しいジャンプだった。今は若手のロシア勢が4回転ジャンプを跳ぶ時代になったが、前方から踏み切るトリプルアクセルが女子にとって大技のジャンプであることは変わらない。。スケーティングスピードがあり、高さと幅のあるジャンプを跳べる樋口は、世界を目指すための大きな武器にしようとトリプルアクセルの習得を決めた。

 それから数年後、その大技ジャンプで初めて着氷できたのが、2017年4月の世界国別対抗戦の公式練習だった。翌シーズンは平昌五輪を控えた大事な五輪シーズン。トリプルアクセルを手に念願の五輪代表入りを狙ったが、自分のものにするまでには至らず、ジャンプ練習のしすぎからケガも負ってしまう。シーズン後半に失速して全日本選手権では4位に終わり、五輪代表切符を逃して悔し涙を流した。