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宇野昌磨「成長したい気持ちが出てきた」演技にランビエルコーチも狂喜 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

 3月27日、世界フィギュアスケート選手権の男子シングルフリー。リンクに入った宇野の表情は、6位と低迷したショートプログラム(SP)のときと少し変わっていた。顔つきが柔らかいだけでなく、闘争心がにじむ。逆境に起死回生を期して演技に挑むとき、彼は自然に熱気をまとえる。2シーズンにわたって、フリーで順位を上げる機会が多かったのは偶然ではない。

「宇野昌磨の生き方はこうなんだ、っていう姿を見せたい」

 宇野はそう語っていたことがある。それは言葉で表現することではない。リンクに立つだけで、彼は生きざまを見せられるのだ。

 前半、宇野はジャンプに苦しむ。冒頭の4回転サルコウは着氷が乱れる。2本目の4回転フリップは高いGOE(出来ばえ点)をつけたが、3本目の4回転トーループはよろめき、トリプルアクセルはどうにか堪える形だった。渾身で挑んではいたはずだが、どこかに余力も残していた。それは基礎点が1.1倍になる後半に、怒涛のコンビネーションで挑む序章だったのかもしれない。

 フライングキャメルスピンでレベル4を取った後だ。

 宇野は曲の盛り上がりとともに、全身に力をみなぎらせる。そして4回転トーループ+2回転トーループを完璧に降りると、3回転サルコウ+3回転トーループも成功。前髪が揺れ、頬が赤く染まり、目が決意に満ちる。トリプルアクセル+シングルオイラー+3回転フリップは、16.32点を荒稼ぎした。苛烈な反撃を彩るように、レベル4のステップシークエンス、美しいコレオ、レベル4の足換えコンビスピンと完璧なフィナーレだった。

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