紀平梨花が世界選手権で反省。「体を夜型にしておくべきだった」

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

 世界選手権で初優勝の期待がかかった全日本女王の紀平梨花。ショートプログラム(SP)でトップと1.92点差の2位につけ、フリーでの逆転を狙ったが、優勝どころか表彰台も逃す合計205.70点の総合7位に終わった。

 昨年12月の全日本選手権では、自身公式戦初の成功となった4回転サルコウを跳んで2連覇を飾った。世界選手権でもこの大技に挑み、成功させるかどうか注目を集めたが、今大会は回避せざるを得ない状況に陥っていたようだ。

ショートプログラムで2位につけたものの、フリーは9位。総合7位に終わった紀平梨花ショートプログラムで2位につけたものの、フリーは9位。総合7位に終わった紀平梨花 24日のSPは、現地時間午後3時過ぎに本番が行なわれたが、26日のフリーは夜9時過ぎにリンクに立った。コロナ禍の中での大会出場となり、時差調整やコンディショニングが思いどおりにいかない面があったという。

「試合には集中して入ったんですけど、足に力が入らず、ふわふわした感じになってしまいました。(フリーの試合がある)夜の時間帯にもっとしっかり動けるように調整をしなければいけなかったです。まだまだ自分の調整力が足りなかったことを演技後に感じて、(失敗も)驚きよりも『やっぱりな』と思いました。

 演技前から足がガクガクしていて、目は覚めているのに体が温かくなって眠っている状態みたいで、調整が大事だなとすごく今回学びました。ジュニア時代にも同じような状況に陥ってミスが出てしまったことがあったのに、もう一度繰り返してしまったことはダメなことで、自分の体をしっかり夜型にしておくべきだったと反省しています。そんな状態だったので、練習してきたことを出せるような体の力の入り具合では今日はなかったです」

 自ら選曲したフリー『ベビー、ゴット・ブレス・ユー』は大好きな曲で「生命の誕生」がテーマだ。生命誕生の尊さを美しい滑りで表現したかったというが、調整ミスのせいで「そういう余裕もなく、申し訳ない演技になってしまいました」と振り返った。

 演技冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はダブルアクセルになり、続く2本目のトリプルアクセルでは転倒した。序盤でのつまずきで失速してしまい、アクセルを含めて3本のジャンプで回転不足を取られて大幅な減点となり、技術点で60点に届かなかった。

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