羽生結弦らトップスケーターの「ジャンプの技術」を中野友加里が語る (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 お手本にはなるけど、羽生選手のジャンプは真似しようと思ってもなかなか真似することができないものです。滑らかにスルスルスルっと跳びにいってしまい、プログラムの流れも音楽も壊さない。ジャッジが点数をつけるのを忘れてしまうのではないかと思うぐらいのプログラム構成です。

 私は現役を引退して10年になりますが、実はこの10年の変化ということで一番感じているのは、音楽の解釈、表現面、演技に対するパフォーマンスの能力が高くなったことです。10代からそういったものを磨いている選手が増えたことは、演技構成点が年々上がっていることでもわかると思います。

 スケーティングの技術も向上しています。ルールが変わったことで、スケーティングの技術をプログラム全体の中から取り出して見抜くことが難しい時代になったのですが、厳しいルールにのっとって、つなぎのステップをやりながら、しっかりとスピードを出して、そのなかでジャンプを跳びにいく。基礎となるスケーティングの技術がしっかりしていればこそ、できるのだと思います。

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