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羽生結弦vsネイサン・チェン。GPファイナルは一騎打ちが濃厚 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 そして、フリーでは最初の4回転ループは耐える着氷になってGOEはわずかな減点となったが、そのほかはノーミスの滑り。とくに基礎点が1.1倍になる後半3本のジャンプは、4回転トーループ+1オイラー+3回転フリップのほか、トリプルアクセルからの連続ジャンプを並べて、高得点の構成をしっかり決めた。

「前半に入れることもたぶんできたとは思います。ただ、それだと4回転トーループ+トリプルアクセルのシークエンス(連続ジャンプの80%の基礎点)をやっていた時もそうだったけど、ポイントにならないんだったらやる必要はないと思う」

 こう語った羽生は、スピンとステップもすべてレベル4にする滑りで、212.99点を獲得した。合計は昨季の世界選手権でチェンが出した世界最高得点(323.42点)に0.83点及ばなかったが、羽生が「まだジャンプだけでも3~4点伸ばせる」と話していたように、SPの4回転トーループ+3回転トーループの完成度を高めて、フリーの4回転ループをしっかり着氷すれば、世界最高得点の更新は十分可能だ。

 今季は、ここ2年ケガで出場できなかったGPファイナルへの意欲も高く、完璧な滑りをして325点超えを果たし、チェンと勝負したい思惑だろう。

 そんな羽生に対して、GPシリーズ前半で2戦を消化したチェンは、まだまだ全開という状態ではない。SPは2試合とも102点台を獲得。スケートアメリカでは冒頭を4回転ルッツにし、4回転トーループ+3回転トーループを入れていたが、最初のルッツはGOE加点0.82点と完成度は低かった。

 だが次のフランス杯では、4回転トーループ+3回転トーループと、4回転フリップにしてきた。トリプルアクセルのミスで2.29点の減点となったが、その目減り分を2本のジャンプの加点と、アメリカではミスをした終盤のふたつのスピンを修正して補っていた。

 フリーは、スケートアメリカでは3回転ルッツ+3回転トーループ、4回転フリップとプレッシャーのかからない入りで、次の4回転トーループ+1オイラー+3回転フリップは、フリップが2回転になるミス。さらに後半の4回転トーループが2回転になるミスもあり、196.38点となっていた。

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