宇野昌磨が優勝より難ジャンプ挑戦を
優先する理由は「羽生結弦の影」 (2ページ目)
「試合で久しぶりに成功した」と言って苦笑する冒頭の4回転フリップについては、これまで練習でいきなり4回転を跳んでいたのをやめて、サルコウからループ、フリップ、アクセルまで3回転ジャンプの練習に時間を割いたという。4回転フリップをやらなくても、3回転フリップでしっかり感覚をつかめるのでは、とコーチと相談し、基礎の3回転ジャンプを練習でこれまでより多く跳ぶ。体に負担がないジャンプを以前の数倍に増やすことで、ジャンプの感覚をつかもうとしたのだ。
「朝の練習で体が動かない時は、サルコウ+トーループやループ+トーループ、ルッツ+トーループというふうに全部を連続ジャンプにしていました」
こう話すように、この日の午前中の公式練習で宇野は、曲かけの前に4回転を跳ばず、トリプルアクセルを飛んだあとは3回転サルコウ+3回転トーループ、3回転ループ+3回転トーループ、3回転ルッツ+3回転トーループ、3回転フリップ+3回転トーループを跳んでいた。宇野は「本当は3回ずつやろうと思ったけど、そこまで時間がないので2回ずつにしました」と笑う。
その成果が表れ、SPの最初の4回転フリップはGOE(出来ばえ点)1.57の加点をもらう出来。しかし、ステップは型にハマリすぎた滑りになり、レベル4を獲得して得点には影響しなかったが、宇野自身「すごく落ち着いてはいましたが、ちょっとおとなしくてきれい過ぎたかなと思います。荒々しさというか、躍動感をもっと出せたのではないかなと思う」と反省する。
それでも、演技構成点すべての項目で9点台を出し、全体トップの45.47点を獲得して101.51点。ただし、タイムオーバーで減点1、トリプルアクセルの転倒でさらに減点1、この転倒によってGOEでも2.71減点されていた。つまり、トリプルアクセルの失敗がなければ、少なくともあと5点は加算されていた計算になる。その場合、自己最高の104.87点を超えることも可能な出来だったということだ。
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