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笑顔の宇野、失意の羽生。
逆転優勝にはフリーで200点台が必須に (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 羽生の結果に会場全体が動揺していたが、2番目滑走の宇野昌磨は落ち着いていた。公式練習や6分間練習では確率がよくなかった最初の4回転フリップをキッチリ跳ぶと、続く4回転トーループ+3回転トーループもきれいに決めた。

 その後のふたつのスピンでレベル4を獲得し、後半のトリプルアクセルも決めてノーミスの演技を披露。得点を自己最高の104.86点にまで伸ばした。

「こっちへ来てからの練習では、みなさんに見せていたショートはあまりよくなかったし、本番でも特別にいい演技ができたというより、『練習通り』という印象です。でも、すごく気持ちよく滑ることができて、今年1年間でやってきたことが出せたというのは嬉しいです。まだフリーが終わっていないので、フリーでも笑顔で終われるようにしたいと思います」

 宇野は、「全員がノーミスをした時は自分が1位になれるまでにはなっていないし、そこはあんまり考えるべき立場ではないと思う」と、現在の男子フィギュアにおける自分の位置を謙虚に語る。その気持ちが「挑戦するだけ」という意識を強くし、緊張感のある舞台でもいい形で結果を出せたのだろう。

 宇野のノーミスの演技は、その後の選手たちを勢いづけた。ハビエル・フェルナンデス(スペイン)は、最初の4回転+3回転トーループと次の4回転サルコウを、共にGOE加点2.86点の完璧な出来で決めるなど、隙のない演技で自己最高の109.05点を獲得した。

 さらに、パトリック・チャン(カナダ)も、4回転は1本だけという他の選手より不利な構成ながら、ノーミスの演技で自己最高の102.13点を獲得。優勝への絶対条件であると思われていた「SPでの100点超え」を、3人が実現するハイレベルな戦いになった。

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