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今シーズンは「和風」。羽生結弦が語った新プログラムの狙い (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 このショーバージョンの『SEIMEI』は、フリー演技を1分半ほど短くしたもの。羽生は「(フルバージョンは)盛り上がるパートもあるし、もっともっとテンポの速いところも入っています。(そこは)あとの楽しみにしていたただきたいという意味も込めて、この長さにしました」と言う。

 今回のアイスショーバージョンでは、3回の4回転ジャンプを組み込んでいた。この日は最初のサルコウと後半のトーループで転倒したが、羽生はこう言う。

「サルコウの失敗の原因もだいぶつかめてきています。こうやってショーに高いお金を払って見に来てくださる方たちには申し訳ないところもあるかもしれないけど、僕はこのプログラムをみなさんに観られながら仕上げていきたいという気持ちがあります。もちろんいつも完璧にできるとは限らないですけど、こういう場をひとつひとつ乗り越えながら、課題を見つけて頑張っていきたいと思います」

 試合より狭いアイスショーのリンクで、難度の高い4回転ジャンプを3回も入れるというのは異例のことだ。羽生はそれをしっかりこなせるようになることで、昨年挑戦を決意しながら果たせなかった、「SPとフリーの両方で後半に4回転ジャンプを入れるプログラム」を、今シーズンこそ完成させたいと考えているのだ。

 今強く意識しているのは、「目の前のショーに集中して、このプログラムを滑りこなしていく」ということだ。それが、彼が常に大きなテーマとしている、「シーズンを通して全力でやり切る」ということにもつながっている。

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