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フィギュア全日本、注目はソチ五輪代表最後の「1枠」争い (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 羽生、髙橋、浅田、鈴木の4選手は、これまでの実績からみても、体調さえ合わせてくれば全日本選手権で表彰台に上がる確率は高い。そうなると男女ともに3枠目の争いが熾烈になる。男子はGPファイナルに出場した町田樹(たつき)と織田信成に加え、小塚崇彦と無良崇人、女子は村上佳菜子と宮原知子、今井遥、安藤美姫がその席を争うことになるだろう。

ファイナルをケガで欠場した髙橋大輔は、全日本での五輪出場権獲得を目指すファイナルをケガで欠場した髙橋大輔は、全日本での五輪出場権獲得を目指す 男子では、町田が世界ランキング、ベストスコアともに3番手で選考対象者になる条件を満たしており、女子は村上が世界ランキング11位で日本人3番手、宮原が170・21点のシーズンベスト3番手で選考対象となる。ただ、それ以外の選手との間に、絶対的と言えるほどの差は存在しておらず、全日本で3位以内に入った選手が代表となる可能性が高いだろう。

 そんな視点で今回のソチ五輪出場権の争いを考えると、男子でしぶとさを見せそうなのが、GPシリーズでファイナルまでの3戦で3位、2位、3位と表彰台を外していない織田だろう。GPシリーズでは4回転トーループが完璧にこなせず、得点をもうひとつ伸ばせなかったが、ファイナルのフリーでは最初の4回転で転倒しながら、その後の4回転トーループ+3回転トーループを決める粘り強さを見せた。

 一方の町田は、スケートアメリカではショートプログラム(SP)、フリーで3度の4回転トーループを跳び、2回は成功。フリーで跳んだ2回目の4回転で手を突くミスをしただけで、ほぼ完璧だった。その後、ファイナルでは、SPで4回転に失敗して最下位の6位スタートになったが、フリーでは4回転をきれいに決めて総合で4位と、気持ちの強さを見せた。

 安定感では織田に一日の長があるといえるが、今季の町田の急成長ぶりは目を見張るものがあり、4回転を完璧に決められれば、表現力も評価され始めているだけに総合力で上回ることも可能だろう。

 GPシリーズで出遅れた小塚は、故障もあって体調が万全ではないが、元々持っているスケーティング技術は高く評価されている選手。また、シーズンイン後にプログラムを変更した無良も、硬さが取れてジャンプを完璧に決めれば、昨年の全日本で3位に食い込んだことからもわかるように、底力を持っている選手だ。彼ら二人は、ともに挑戦者として強い気持ちで臨んでくるはずで、上位争いは僅差の戦いになるだろう。その意味でも、フリーへの勢いをつけることになるSPの出来に注目したい。

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