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【ボクシング】山中慎介が再認識した井上尚弥の「1発の強さ」 敗れた中谷潤人が手に入れたものは何か? (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Takahiro Shinozaki

ーーあの右アッパーで、中谷選手は左眼窩底骨折を負いました。

「目立った腫れではなかったですけど、折れていましたね。我慢強い中谷があそこまで痛がっていたところを見ると、相当ダメージがあったんでしょう」

ーー中谷選手自身も会見で『井上選手の姿が二重に見えた』『ダブルビジョン』と表現していました。本人もすぐに、眼窩底骨折とわかったそうです。

「井上もドネアとの初戦で同じケガをしていますから、相手の状態をすぐに察したんでしょう。ダウンまで持っていくかな、と思わせるぐらいの猛攻でした。決定的なダメージを与えた右アッパーも含めて、井上の"勝負強さ"と言っていい部分だと思います。中谷ペースになった8~10ラウンドから一気に流れを引き戻す一発を持っている。全体的なボクシングのうまさもありますけど、1発の強さも再認識しました」

【中谷が初黒星と引き換えに得たもの】

ーー試合後の、ふたりの表情はいかがでしたか?

「中谷は相当に悔しそうに見えましたね。攻めに出るタイミングも含めて、『もっとやれた』という気持ちがあったんじゃないですか」

ーー解説の長谷川穂積さんは『敗れたけれど、評価はまったく下げていない。むしろ可能性の高さを感じた』とおっしゃっていました。

「興行としてみれば、一番いい終わり方ですよね。勝った井上はもちろん、敗れた中谷の評価は上がった。試合前は、『どちらかに黒星がつくのはもったいないな』という空気感もあったと思うんですよ。でも、試合が終わってみれば、中谷に黒星ついて残念という感じはまったくない。もちろん、対戦相手があの井上だから、というのもありますけど」

ーーパーフェクトレコードよりも、別の何かを得たということでしょうか。

「そう思わせるのが、すごいんですよね。負けなしのパーフェクトレコードはもちろん大事ですけど、それを上回るものを中谷は手に入れたと思います。『再戦したらわからない』と思う人も少なくないんじゃないでしょうか。そう思わせる試合内容でしたし、中谷の可能性を示した試合でした」

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