検索

【女子プロレス】荒井優希が振り返る"後ろ受け身キャンセル界隈"からの進化 アイドルとの二刀流時代には偏見との闘いも (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Mugiko Ozaki

【アジャコングと対戦し、継続参戦を決意】

 5月4日、後楽園ホール大会で本格的にプロレスデビューを果たす。渡辺未詩と組み、伊藤麻希&遠藤有栖組と対戦した。髙木が絶賛した体幹と、天性のプロレスセンスを遺憾なく発揮し、デビュー戦とは思えぬ闘いぶりを見せた。間もなく荒井は「GENIUS GIRL」とコールされるようになる。

 公にはされていなかったが、プロレスは2021年末までの期間限定の予定だった。しかし、いざ始めてみれば、負けると"ちゃんと"悔しい。勝つと"ちゃんと"うれしい。「ベルトを巻いた姿をファンに見せたい」という気持ちも芽生えた。

 そんななか、10月9日、大田区総合体育館大会でアジャコングとタッグマッチで初対戦する。アジャと闘ったことで、「もっとプロレスを知りたい」と荒井は思った。

「アジャさんはすべてにおいて規格外で、上に乗られると本当にまったく動けなかった。そのプロレスが自分にとって新しかったし、アジャさんに『もっと(自分を)知ってもらいたい、認めてもらいたい』と思いました」

 この試合後、アジャは膝の手術のために欠場することになっていた。荒井が年末でプロレスをやめたら、アジャとの再戦は叶わない。荒井は迷いなく、継続参戦することを決めた。

 年末、東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」で新人賞を受賞。年明けには、『週刊プロレス』の読者投票企画「プロレスグランプリ2021」で新人賞を受賞した。それまで「SKE48だから特別扱いされている」と言われることも多く、そこでしか見てもらえないのが悔しかった。しかし新人賞を受賞したことで、覚悟が決まった。

 2022年3月19日、インターナショナル・プリンセス王者の伊藤麻希を相手に、初のタイトルマッチ。惜しくも敗れてしまったが、感情剥き出しのファイトに多くのファンが度肝を抜いた。荒井がここまでのレスラーになると、どれだけの人が予想していただろう。

 しかしプロレスラーとしてメキメキと力をつける一方で、アイドルとしては選抜メンバーから外れてしまう。プロレスをやったから選抜メンバー落ちした、と思われるのが悔しかったという。

「プロレスをやっていなくても、絶対にどこかでは落ちていたと思うんですよ。そのタイミングがたまたまここで来ただけなんです。でも、やっぱり言われやすくて、『そっち(プロレス)へ行くんだ』とか『そっちのほうがいいんだ』とか......」

 アイドルとプロレス。二刀流ならではの悔しさを抱えていた荒井に、タッグパートナーとの出会いが訪れる――。

(後編:SKE48時代にセンターを目指さなかった荒井優希が、強敵との闘いを経て決意「女子プロレス界の未来を背負います」>>)

【プロフィール】

荒井優希(あらい・ゆき)

1998年5月7日、京都府生まれ。167㎝。元SKE48 Team KⅡメンバー。2021年5月4日、東京女子プロレス後楽園ホール大会にてプロレスデビュー(渡辺未詩&荒井優希vs伊藤麻希&遠藤有栖)。東京スポーツ新聞社主催「2021年度プロレス大賞」で新人賞を受賞。2022年7月、大田区総合体育館大会において第10代プリンセスタッグ王座を戴冠(パートナーは赤井沙希)。2024年1月、後楽園ホール大会にてインターナショナル・プリンセス王者のマックス・ジ・インペイラーに挑戦。見事勝利し、第12代インターナショナル・プリンセス王座を戴冠。2025年3月末、SKE48を卒業し、プロレス一本化した。

【大会情報】
『GRAND PRINCESS '26』
■日時:2026年3月29日(日) 開場 13:00 開始 14:00
■会場:東京・両国国技館
■詳細:GRAND PRINCESS '26 | 東京女子プロレス公式サイト>>

著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】東京女子プロレス 荒井優希フォトギャラリー

4 / 4

キーワード

このページのトップに戻る