【証言・棚橋弘至】内藤哲也が明かす憧れのレスラーとの距離 「倒すべき対象として見るようになってからは...」 (3ページ目)
── 初めて「愛してま〜す!」と叫んだ日ですね。その時点では、IWGP王者とデビューしたばかりのいち若手という遠い距離感ですね。
内藤 もちろん。だから棚橋が道場に来ると、ほかの選手が来た時以上に緊張しましたよ。「うわ、棚橋だよ」「棚橋が座ってるよ」「棚橋が『内藤』って呼んだよ」みたいな。ただ、やっぱりオレにとっては倒すべき対象だったので、入門後もあまり近づかないように、会話をした記憶はほぼないです。でも寮生のなかで一番上だった山本(尚史=ヨシ・タツ)さんが「あいつ、棚橋さんに憧れて入ったみたいですよ」って本人に言ったみたいです。
【なぜか自分のアンテナに引っかかった】
── 言いそうですね(笑)。内藤さんはファン歴が長くて濃いぶん、自分の理想のレスラー像というものがあったと思うんですけど。
内藤 最初にプロレスラーを目指したのは武藤敬司に憧れたからで、ああいう華やかな感じのスタイルをイメージしていましたね。
── 内藤さん自身も身体能力は高いですし。
内藤 棚橋の運動神経は、オレが思うにふつうくらいなのかなと思っていました。タイプ的に武藤とは違うのに、なぜか自分のアンテナにすごく引っかかったんですよね。いろんな人のアンテナに引っかかりやすい何かを持っているってことですかね?
── その「何か」が、今もわからない?
内藤 これだけ多くの人に注目されたり、憧れられたりするっていうのは何かあるんだろうなと。もちろん真逆の「嫌い」もあるでしょうけど、一番よくないのは「あんまり興味ない」なので。好きだろうが嫌いだろうが、要するに見てるってことなので、オレ的にはどっちもプラスだと思ってるんですよ。
そういう意味で言うと、棚橋は一時期すごいブーイングを浴びて嫌われてたけど、好きと嫌い、どっちの人も注目しているという意味では、常に目につく何かを持った選手だったということでしょうね。
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