【証言・棚橋弘至】柴田勝頼が明かす盟友との28年 入門テスト、とんかつ事件、新闘魂三銃士... (3ページ目)
【新闘魂三銃士が生んだ摩擦】
── そんな複雑な関係性を持つ3人が、2004年に会社の意向で「新闘魂三銃士」という形で売り出されることになりました。
柴田 あの時は、それぞれが一緒にされることを本当に嫌がっていたと思いますよ。今となっては、なぜあそこまで反発する雰囲気になったのかなと思いますけど、たぶん一番の原因は自分でしょうね。会社から言われたことに対してとにかく反抗していたんで。
でも、それはすべて本音から生まれた、偽りのない感情でしたし、そこから生まれた流れにも嘘はなかった。だからこそ、あらかじめ敷かれたレールの上を走らなかったことが、結果的によかったのだと思います。会社からすれば、「こいつら、ちゃんとレールの上を走らないな......」と思っていたはずですけどね(笑)。でも、それで間違いなかったなと。
── お互いの嫉妬も入り混じって。
柴田 そこも含めて、生の感情を爆発させていましたね。もともと棚橋くんとは仲よかったけど、ただみなさんもご存知のとおり、ことプロレスに関しては衝突する部分が多かった。
たとえば、ある新弟子が練習についてこられなくて辞めようとしていたんです。そこで棚橋くんはやさしいから、「もう少し頑張ってみなよ」と声をかけてあげる。一方の自分は、「まだいたのか? 早く帰れ!」と、二階からそいつの荷物を階段から放り投げる。その時、「そんなことしなくてもいいじゃないですか!」って、あの棚橋くんが珍しく自分に怒ってきたんですよ。
── 棚橋弘至が声を荒げた。
柴田 でも、そのあと続きがあるんですよ。数分後、荷物を抱えたその新弟子がずっと道場の前で突っ立ってたんですよ。「なんでなかなか帰らないんだろ?」と思ってふたりで二階の窓から様子を見てたら、そいつはタクシーを自分で手配していて(笑)。それでやってきたタクシーに乗り込んで去っていくところを見ながら「ねっ、棚橋くん」って言ったら「さっきはすみませんでした」と。
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