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井上尚弥の衰えは「まったく感じない」 いとこの浩樹は9月のアフマダリエフ戦のポイントを「スピード」と分析 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――極論、尚弥選手も同じ作戦で戦うこともできますし、打たれるリスクを避けてポイントアウトするボクシングをしてもいい。ただ、尚弥選手がやりたいボクシングではないでしょうね。

「はい。同じメキシコの記念日『シンコ・デ・マヨ』(5月5日)に合わせて行なわれたボクシング興行(5月2日~4日の3日間)で試合をした(ライアン・)ガルシア(アメリカ)もカネロ(サウル・"カネロ"・アルバレス/メキシコ)も、ファンがエキサイトする戦いではありませんでした。そして、そのトリを飾った尚弥さんがTKO勝利。やりたいボクシング、見せたいボクシングの差が出たと思います」

――多くのファンを持つガルシア選手、カネロ選手ですが、ファンからは辛辣な声も上がりました。

「自分が持っている王座、記録など、そういうものを守りたいという気持ちが強く出ていましたね。守り方には個性が出ると思うんですけど、尚弥さんは違った。しっかり倒しきるボクシングで魅せましたよね」

【アフマダリエフ戦で勝負を分けるのは?】

――尚弥選手の次戦は今年9月、WBA世界スーパーバンタム暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ選手(※)との王座統一戦が濃厚とされています。どんな印象の選手ですか?

(※)アフマダリエフは5月30日(日本時間31日)、ルイス・カスティージョ(メキシコ)相手に8ラウンド2分5秒でTKO勝利。

「体が強いイメージがあります。スピードはそこまで速くないのかなと思うんですけど、アマチュア時代にオリンピックでメダルを獲っていますから(2016年のリオ五輪で銅メダルを獲得)、技術が高いのはもちろん、好戦的な面もある。すごくいい勝負なんじゃないかなと思いますね」

――尚弥選手とのスピード差がカギになりますか?

「そうですね。スピードは尚弥さんのほうが速いと思うので、そこがポイントのひとつになると思います。それと、どちらがジャブを当てられるかですね。

 尚弥さんがオーソドックスで、アフマダリエフがサウスポーなので、どっちが前の手をうまく当てられるかが大事です。尚弥さんはネリと対戦した時もそうでしたけど、左を当てながら右も当てて、テンポよく打ち分けていました。同じような展開になるんじゃないかと思います」

――アフマダリエフ選手が積極的に前に出てくれば、尚弥選手にとっては倒すチャンスが増えますね。

「そうですね。彼がディフェンス一辺倒にならなければ、倒すチャンスは増えると思います」

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