ケンコバが振り返る第1回G1での勘違い 蝶野正洋と武藤敬司の決勝のせいで「忘れられている場面がある」 (3ページ目)
――確かにそうかもしれませんね!
「一方の武藤さんは、直接的には指導を受けていないですが、なんだかんだ言ってカール・ゴッチの流れを受け継いでいるんですよ。パイルドライバーもゴッチ式でしたし、固め技なんかもやっていました。
元祖パワーボムとSTFをテーズから伝授された蝶野さんと、ゴッチのパイルドライバーと固め技を繰り出した武藤さん。"鉄人"と"神様"の代理戦争というか、蝶野vs.武藤の背景にテーズvs.ゴッチが垣間見えた試合でした」
――ロマンがある考察ですね。
「でもそれだけじゃなくて、武藤さんが学生時代にやっていた柔道の腕十字とかを出せば、三鷹の暴走族だった蝶野さんが無慈悲に武藤さんを踏みつけたり......2人のルーツがすべてリング上で出ましたね」
【プロレスファン全員が裏切られた結末】
――そして、感動の座布団へとつながるわけですね。
「あのシーンは今でも、近代プロレスの名場面として語られています。僕は会場に行っていないんですけど、前日の武藤vs.ベイダー戦でケロちゃんが『やめてください。国技館が使えなくなります』とアナウンスしていたから、決勝の前にも"座布団は投げないように"という注意喚起があったかもしれませんね。だけど、あの試合と、蝶野さんが優勝した衝撃で、どちらにせよファンは我慢できなかったでしょう。気持ちはわかりますよ」
――プロレス史に残る番狂わせでもありましたね。
「プロレスファン全員が裏切られたと思いますよ。武藤さんがベイダーに勝った時点で、誰もが『このまま優勝だ』と確信したはずです。蝶野さんは橋本さんとの代表者決定戦も
あって、1日で2試合やらないといけなかったですしね。
蝶野さんは決勝に進みましたが、"破壊王"にさんざん蹴られてダメージもすごかった。そりゃあ、武藤さんが勝って、いよいよ天才の時代がくると思うでしょう。でも蝶野さんが勝って、最後は闘魂三銃士が並んでファンの歓声を浴びた。あのシーンは、新たな時代の到来を象徴してましたね」
――ケンコバさんは、闘魂三銃士のなかで誰を推していたんですか?
「武藤さんですね。それは、あるインタビュー記事がきっかけだったんです」
(後編:武藤敬司が突然トイレで「イ~ヤァオ!」と絶叫 それを目撃したケンコバは「いかなる時でもプロレスラーなんやな」>>)
【プロフィール】
ケンドーコバヤシ
お笑い芸人。1972年7月4日生まれ、大阪府大阪市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1992年に大阪NSCに入学。『にけつッ‼』(読売テレビ)、『アメト――ク!』(テレビ朝日)など、多数のテレビ番組に出演。大のプロレス好きとしても知られ、芸名の由来はプロレスラーのケンドー・ナガサキ。
【写真】ケンコバのプロレス連載 試合フォトギャラリー
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