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朝倉未来はいったん引退したことで進化 髙阪剛も「距離を置いたことで見える部分がある」と共感 (5ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――鈴木選手は、パトリシオ・ピットブル選手、ヴガール・ケラモフ選手、金原正徳選手と、強豪に破竹の勢いで連勝してきました。今はオーバーホールの時期かも知れませんね。

「ここで少し立ち止まって休むことは、決して悪いことじゃないと思います。僕自身も現役時代、UFCに出ていた頃は『試合間隔が短いけど、上に行くチャンスだから』と、出場を決めたことが何度かありました。1カ月半程度のスパンで『やります!』と。でも、練習を重ねていくうちに、2、3週目から体が動かなくなるんです。集中もできなくなって、気持ちはあるのに体がついてこない感じです。そうなると、どんどん自信まで失ってしまうんです」

――勝負をかける試合だと分かっていても、体が動かない?

「無理やり体を動かそうとすればするほど悪循環になって、疲労も蓄積して......。週末に1、2日休んだくらいでは全然回復しない。僕は、そういうことを20代の頃に経験しました。だから、今回の鈴木選手の状態を見て、理解できる部分はありましたね。未来選手が引退期間を設けて俯瞰で見る時間があったように、ファイターにとって休む時間は大事なことだと思います」

――髙阪さんの教え子たちにも、休養とリフレッシュの重要性はレクチャーされているんですか?

「はい。試合が終わってしばらく試合がない選手には、『スパーリングを遊びながらやろう』と伝えています。もちろん、ふざけてやるということではなくて、遊びの延長で自由にいろいろ試すという意味です。試合前はどうしても対戦相手の対策に、練習内容を絞る作業になります。ですから、遊びの感覚で色々試すと、意外と試合でもやれることが見つかったりします」

―― 鈴木選手には、心身を十分に回復してもらって、あの爆発力を存分に発揮できるコンディションで戻ってきてほしいですね。

「ファンも彼の完全復活を待っていると思いますし、まだ若いですから。焦らずじっくり準備してほしいですね」

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