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佐竹雅昭が振り返る『24時間テレビ』内のゲーリー・グッドリッジ戦 重圧もあったが「ああいうシチュエーションになると燃える」 (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji

【異種格闘技戦は「燃える」】

 絶対に負けられない試合に、佐竹は空手の道着を着て臨んだ。

「『気合を高めるためにも空手着だな』と思ったので。(グッドリッジは)PRIDEの選手でしたし、異種格闘技戦の気持ちでリングに向かいました」

 ゴングが鳴る。グッドリッジは間合いを詰めてパンチ、蹴りでプレッシャーをかけてきた。佐竹は、それにローキックを合わせる作戦に出た。

「グッドリッジは、テクニックはなかったんですが、パンチを振り回してくるから、最初はどう対応すればいいのかわからない状態でしたね」

 3ラウンド、左のローキックがグッドリッジの右足をとらえた。グッドリッジは棒立ちになり、佐竹のパンチの連打からの左フックも顔面をとらえた。その後も左のローキックで攻め続けるとグッドリッジは膝をつき、そのまま立ち上がることができなかった。

 KO勝利で子どもたちに勇気を届けたが、その試合の裏側についてこう明かす。

「実は、この試合前に足の指を痛めていて状態は最悪でした。だけど、『痛い』なんて言っていられなかった。子どもたちのためにも勝たないといけなかったので、意地だけで闘ったような感じです」

 当時は重圧しかなかったグッドリッジ戦だが、今は「それが楽しかったですね。佐竹雅昭という空手家は、1995年の(当時UFCで注目されていた)キモ戦もそうでしたけど、ああいう異種格闘技戦的なシチュエーションになると燃えるんですよ」

 前年の1998年8月28日には、K-1ジャパングランプリ1回戦で、UWFインターナショナルなどで活躍したプロレスラー・安生洋二とも対戦している。この試合も「空手vs.プロレス」という色合いがあった試合だった。

「安生戦も面白かったですね。観客から、『佐竹がプロレスラーと闘ったらどうなるんだ? 佐竹が勝つだろうけど、安生が勝ったら......』みたいな期待感というか、未知なゾーンに入っていく怖いもの見たさみたいな視線をすごく感じるんです。それはK-1戦士との試合では出せませんし、僕もそういう雰囲気が好きでしたね」

 安生戦は佐竹が右ハイキックを入れ、2ラウンドTKO勝利を収めた。

「安生選手は、慣れないK-1ルールなのに一生懸命攻めてきましたよ。根性がありましたね。佐竹を倒してひと花咲かせよう、ここで勝って生き残ってやる、といったチャレンジ精神を感じました。闘いながら、『これぞプロだな』と尊敬の念が生まれました」

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