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山中慎介が中谷潤人を「難攻不落」と絶賛 防衛戦でダウンを奪ったシーンも「普通の選手にはできません」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【セオリーではなかった中谷の動き】

――山中さんは、マスススパーリングで中谷選手とリングで向かい合った経験がありますが、距離はいかがでしたか?(山中:身長170cm、リーチ174cm/中谷:身長173cm、リーチ173~176cm。中谷のリーチについては、マネージャーである弟の龍人氏によると、計測するたびに数値にばらつきがあり、おおよそこの範囲内とのこと)

「サウスポー同士ですから、本来なら距離は近くなるはずなんですが、かなり遠い、長いという印象でした。そして、どの角度からパンチが飛んでくるかまったくわからない。どう警戒すればいいのかもわからなくなります」

――クエジャル選手も身長が高く(174cm)、体が強そうには見えましたが......。

「過去にダウン経験がない選手でしたし、実際にフィジカルも強いと思います。ただ、それを発揮する場面を作らせなかったですね。中谷が常に距離を制して主導権を握っていました」

――中谷選手は、スタンスを広くして深く構える印象があります。

「そうですね。相手からすると、顔の位置がかなり遠く感じるんです。だからクエジャルも初回から前に出て、もっと右を出したかったでしょう。でも、右が出せる距離ではなかったし、出せるタイミングもなかった。一方で中谷は、左のストレートをしっかりヒットさせていました。クエジャルは、初回から戦いにくいと感じていたはずです」

――中谷選手はサウスポー、クエジャル選手はオーソドックスでしたが、位置取りで気になった点はありますか?

「サウスポー(中谷)対オーソドックス(クエジャル)の場合、セオリーでは中谷は自身の右足側へ回り(右回り)、一方のクエジャルは自身の左足側へ回ることになります(左回り)。だから、ポジションの取り合いになるわけです。でも今回、中谷は左回りを選びました。そうすることで、クエジャルは距離が遠くなり、得意な左フックが出しづらくなった。一方の中谷は、左ストレートを内側からしっかり打ち込んでいました」

――同じサウスポーの山中さんは現役時代、どのように位置取りを意識していましたか?

「相手の"外"ではなく、"中"を取るようにしていました。中に踏み込んで自分のタイミングで打つ。今回は、中谷の踏み込んでの左ストレートにクエジャルが反応できていない場面が多く見られました。2、3ラウンド目には中谷の右フックも当たりだしましたね」

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