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禁断の「全女式押さえ込みルール」で露わになった宝山愛の感情 長与千種は「ガチという言葉は薄っぺらい」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

 一時は締められながらうずくまった暁がなんとか立ち上がり、首投げで返すと逆にスリーパーで捕える。スタンドのまま締め上げ、そのまま倒れて胴締めスリーパーに。動きが止まる宝山。締め上げたまま5分が経過。

 ここで離した暁がエルボーにいくも、返した宝山がボディスラムから押さえ込み。しかしロープに逃げる暁。暁はとにかく押さえ込まれた瞬間から、ロープに逃げることを徹底している。

 ロープに振ってショルダータックルから押さえ込む暁。暴れて逃げる宝山。ドロップキックから宝山が押さえ込むも、暁はロープに逃げ、ボディスラムから押さえ込む。宝山が何度カウント2で返しても、押さえ込み続ける暁。宝山は奇声をあげて逃れる。

 ラスト2分。ボディスラムから押さえ込み続ける暁。どんどん余裕がなくなってくる宝山。雄叫びを上げながら逃げ続けるも、カウント2で肩を上げるのが精一杯。獣のような、切実な涙の咆哮に、客席からは声援とすすり泣きが聞こえる。

 ラスト1分のコールを聞くとほぼ同時のタイミングで、カウント3。暁の勝利を告げるゴングが鳴った。

 長与がリングに上がって、マイクを持つ。

「ひとつだけ忘れないでほしい。人から一本取ることが、どれだけ尊くて、どれだけ大変なことか、今日おまえ(暁)はよくわかったはずだ。そして取られることが、負けることがどれだけ悔しいか、おまえ(宝山)はわかったはず。勝つことも難しいけど、負けることも難しいから。そんな思いでリングに上がってほしい」

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