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井上尚弥との対決に向け、中谷潤人は「僕にとって最強の相手になる」トレーナーも「ベストなナオヤを超えることに価値がある」 (3ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

【トレーナーは「言い訳のない状態で勝たせたい」】

 中谷を15歳の頃から指導するルディ・エルナンデスはこう言った。

「ナオヤ・イノウエもジャパニーズファンも、チャレンジャーを心から敬っていたね。見ていて清々しい光景だった。急な代役にうなづいたキムに対する感謝を忘れなかったんだ。彼が試合を受けてくれなかったら、興行は成立しなかったのだから。

 キムは確かにイノウエに負けたし、ファイターとしての差は大きかった。だが、覚悟を決めて必死で向かっていったよね。私はそんな姿に拍手を贈ったよ。イノウエは今、間違いなくパウンド・フォー・パウンド、ナンバーワンだ。相手がオーソドックだろうがサウスポーだろうが、世界チャンピオンとしてリングで自分の仕事を成し遂げるのがプロ。どんな状況に置かれたとしても、勝つために最大限の準備をして結果を出さねばならない。イノウエはそれを過不足なくやってのけたのさ」

 日本のボクシンファンの誰もが注目する、井上尚弥vs中谷潤人戦についても訊いた。

「何度でも言うが、今のボクシング界で最強のチャンピオンはナオヤ・イノウエだ。彼は自分の時代を築いたんだ。しかし、それがいつまでも続く訳じゃない。また新たな人間が主役となる。それがジュントだと私は信じている。

 すべてはタイミング。122パウンドでも、126パウンド(フェザー級)でも関係ない。とにかくベストな時期にやらせたい。私は、今年の12月が頃合いだと思っているよ。例えば2年後にジュントが勝利しても、『ナオヤが衰えたからだよね』という声が必ず挙がる。そういう言い訳のない状態で勝たせたい。ベストなナオヤを超えることに価値があるんだ」

 中谷は井上尚弥戦を迎えるまでに、まず2月24日に28戦全勝(18KO)のデビッド・クエジャルを倒さねばならない。バンタムでの統一戦も以前から切望しているが、他のチャンピオンは口では対戦をほのめかすものの、どの程度本気なのか疑わしい。それは、中谷の力量がほかの3名のバンタム級世界王者をはるかに上回っているからだ。

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