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井上尚弥との対決に向け、中谷潤人は「僕にとって最強の相手になる」トレーナーも「ベストなナオヤを超えることに価値がある」 (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

 ルディは回顧する。

「ジュントが私のところに来た時、可能性は感じたけれど、冷静に振り返れば何も持っていなかった。でも、ボクシングに己を捧げ、ひとつひとつ武器を身につけていった。その成長度が何より素晴らしい」

 中谷の参謀は、クエジャルについてはさらりとかわした。

「平凡な選手といった感じだな。対戦相手によって、特別なメニューを与えるよりも、ジュントの良さを生かしてやることが私の仕事だ。肝心なことは、パーフェクトな準備をして最高のコンディションでリングに上げてやること。毎日、選手がジムに来るたびに、少しでも向上するように教えることがコーチの仕事なのさ」

 とはいえ、WBC世界バンタム級王者は3度目の防衛戦に集中している。

「クエジャルは僕と同じくらいの身長なので、対策を考えます。これまでの相手なら、近い距離ではボディワークで攻撃を外せましたが、体の大きな選手に対しては接近戦でも上体の動きを使わずに頭の位置を確認しながらガードしていこうと。ほんの少しの変化ですが、それをスパーリングで落とし込んでいく作業です。微調整の繰り返しですね。

 左フックが強い選手なので、耳の後ろなどにクリーンヒットされないように、正確なディフェンスを意識しています。ステップワークも大事なところで出せるよう確認中。ボクシングは、そういった積み重ねが大事になります」

 2025年が明けた時、「怪我なく、理想高く突き進む!」と今年の目標を記した中谷潤人。追いかける者の大きさを把捉しながら、彼は己を磨き上げる。

【プロフィール】
中谷潤人(なかたに・じゅんと)

1998年1月2日、三重県生まれ。29戦29勝(22KO)。小学6年からボクシングを始め、中学1年から桑名市のKOZOジムに入門。中学を卒業後、アメリカに単身留学し、16歳の時にM.Tジムへ移籍。2015年4月にプロデビューし、2019年2月日本王者に。2020年11月にWBO世界フライ級王座を獲得。2023年5月にWBO世界スーパーフライ級王座、2024年2月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、井上尚弥、田中恒成に続いて史上3人目の「無敗での3階級制覇」を達成した。

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